不易と流行

努力が流行らなくても

「なに療法ですか?」

松尾芭蕉は、

***

【 不易流行(ふえきりゅうこう) 】

不易を知らざれば基もと立ちがたく、

流行を知らざれば風新たならず

(訳)

不易すなわち、変えてはならない伝統やしきたりを知らなければ、基礎が成り立たない。

しかし、流行すなわち時代の変化に沿った新しさも知らなければ、新たなものは生まれない。

***

と言ったらしい(弟子の向井去来が、芭蕉の考えを聞き書きした『去来抄』より)。

 

-流行

福祉の世界でも、「〇〇療法→△△△療法→……」と"流行"がある。

最新の知見によって変わっていくものを理解して、新たな方法に変える、もしくは、バージョンアップさせなければならない。

しかし、バージョンアップは、うまくいっていないように思う。

「〇〇療法より△△△療法がいい」となると、〇〇療法は水に流され忘れられる、もしくは、否定されることが多いからだ。

 

ときどき「なに療法ですか?」と聞かれることがある。

「良いところは取り入れています」

「方法にとらわれず、人格や内面を磨いて、愛される人を育てたいと考えています」

と答える。

 

不易

部活動などで「ガンバレ!」と言いにくい時代になった。

しかし、一方では、痛みに耐えて、練習を積んで、勝ち取ること、記録を作ることに対して、称賛はやまない。

 

この称賛を受ける人は、

懸命に努力する

諦めない

自分に厳しい(ストイック)

これらの言葉で表現され、否定されることはない。

 

障害児者だけが例外・特別だということはない。

障害があっても、何連覇もしている人がいる。

その人たちは、頑張ってこなかったのか。

その人だけが特別なのか。

 

礼儀がシッカリしている

あいさつがキチンとできる

姿勢がいい

こういったことが良い評価をされるのも、どの子にとっても、どの世代でも、どの国でも、変わらない。

これらが身についていれば、生きていく力になる。

 

自分の努力で自信を獲得することも、生きていく力である。

しかし、努力を言わないようになり、努力なし・根拠なしの自己肯定感が大事だと言うようになってきた。

それでも、うぬぼれている人は評判が悪い。

謙虚であることが好まれるのも不易だろう。

あの選手だって、そうである。

 

"流行"らなくても

今の時代に、

「がんばって、がんばったら自信がつく」

というのは"流行"らないのかも知れない。

"流行"らないとしても、

子どもが生きていくために、人が生きていくために、「努力」は"不易"なものであると考えている。

だから、努力を求める。

どんなに知能指数が伸びても、

どんなに運動発達の抜けが埋まっても、

誰にも合わせられない、人と関係をつくれない、信頼されない、というのではやっていけない。

人としての基礎が成り立っていないのに、表面だけを変えても社会でやっていけない。


かくたつ播磨

店主・守本 悠哉(社会福祉士・公認心理師)

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